背後には丘陵の斜面が迫り、立体交差の道路に側面を押さえつけられたどん詰まりの土地、粗末な民家風情の事務所、人の目を避けるかのように追いやられたその仕事場で、二人の男が黙々と働いていた。道を行く人々には、その山の一部しか見えないが、滅多に使ってもらえぬ高架下の暗い歩道橋に上れば、己の醜さと男たちの意義が滲む一部始終。見えないもの、見せたくないものを見ようとすること、時には必要なのかも知れない。
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