1999年10月15日 No.92

 木々の間からのぞく青空を映す、静かで透き通った流れは、奈良・春日大社の鎮守、春日山の原生林を網の目のように縫い、杜を潤す小さな渓流のひとつ。時に怒ることあって鎮めるのか、また時に脆弱な故、守るのか、それとも我々を守ってくれるのか、もののけと畏怖された森に棲むものたちの気配を感じさせる、そんな古代より連綿と守られた領分が町に隣接し、そして開放されている、こんな町は世界にも少ないだろう。奈良の町に賞賛あれ。

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