ぷにゅ、ぷにゅ・・・幼稚な靴音がゆっくりと金属製の室内に響いた。
「それでは君はどうやってここまで帰ってきたというのかね?」 「・・・装置はなくても・・・」
「何を馬鹿な! そんなことが可能だとでも言うのか、君は!」 ・・・・・・・
「しかし、現に90728号はここに・・・」
「まぁ、良い・・・どうせあの星の生命体に使えるものでもあるまい」
「では、閉廷と致します」 ・・・・・・・
「しかし、ヘロポンではあった方が便利だろう」
 閉廷を促す一言を発した男が、小さなケースを彼に手渡した。
 二人は、手慣れた手つきでそれぞれのケースから赤い眼鏡を取り出し、徐に装着すると、煙に似た微かな光とともに、あっという間にその部屋から消え去った。
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