こじんまりとしたビジネスホテルの最上階、地方都市の旅の窓からは、街灯に照らされ、次々と家路に着く制服と私服の姿、そして、彼の姿が目に入った。
 頃は、既に9時半近く、灯りが残るのは彼の居るフロアだけ、そして教室に残るのは腕枕の彼だけ。灯りの様子と、人の波は、今夜のカリキュラムの終了を物語る。
  今日は寝てしまおうと決めていたのか、それとも講義半ばにして討ち死にしたのか、 「勉」「眠」どちらであれ、普段の彼の姿を知る心優しい講師が、まだもう少しと、そっとしておいてくれたのかも知れない。
 
 さて、今夜の彼は、ノートを取っているのだろうか、それとも・・・。
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