その昔、絵巻に描かれし、源氏、竹取、伊勢、宇津保。御簾の向こうの朧げは、季節の憂いか、懸想の憂い、はたまた物の怪の妖気とも。

 秋の陽気に茶の香る、都会に残った慎ましげな民家の縁。 陽射し和らげ風通す軒の簾は、夏の季語との仰せだが、晩秋になお残るその一垂れ、うっすら映る常葉と紅葉も風情あり。

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