夕暮れの都会には様々な色の光が浮かび出す。 コンクリートの隙間から香る、外気の甘い青紫、高架下を照らす水銀灯に、仕事を終えた脚立は緑色に鈍く輝き、帰路急ぐ車の前照灯は強く激しく、喚起促す赤い尾灯も負けてしまいそう。 渋滞の車中のそんな夜景も、補正をマイナス側へ目一杯、小さなカメラをしっかりとステアリングの上に載せれば、1/6秒の瞬き。 瀟洒にライトアップされたモダンな高層ビル群の夜景も一つの美味だが、こんな煤臭い夜景も静粛子の好みである。