冬の夕空が、山の端からうっすらと茜色に染まりだした。 切符の列車がやってくるのは、東からだったが、ついこの西の空を眺めてしまっていた。 古人が浄土極楽は西方に在り、と想像したのは、日毎妙なる趣き奏でる、こんな夕暮れの空のせいだろうか。 仕事は終わった。帰路に着く列車の気配は背中で感じることにしよう。