ひとときがやって来た。 珈琲と活字、行きつけの店と、できればいつもの席。 好天と陽射しは嬉しいが、天気はその度に違う方が、ものを思うには向いている。 古い作りの高い天井には、常連と一見の話し声が柔らかく響き、いつしか、肌触りの良い上掛けの様な心地良さ。 そろそろ・・・の時までまだ少し、途切れそうな時間を繋ぎ止めようと、男性は再び一冊を手に取った。