日没を迎え、薄暮の青が深みを増し、 月も一層輝き始める頃。 大木林立する社の杜に、期待と気配が満ち始める。 やがて、お誂えの洞から可愛い顔を覗かせた小さな獣は、 仄暗く美しい影となって、梢から梢へと宙を渡った。