家人はその事を知らなかったが、何か吉兆に違いないという先代の言いつけを守って、それをそのままにして置いた。 事の次第が判明したのは、ごく最近の事、たまたま通りがかったある研究者の目に留まったからだった。 研究者は数日して、数人の助手を引き連れ、再度その民家にやってくると、丹念にその壁を調べ始め、こう結論付けた。 「これは、私の研究している鳥類の非常に古い先祖の化石に違いないと思います。恐らくは新種、いや新種に間違いないと言って良いと思います。」