呼ばれた訳ではなかったが、私はそこにやって来た。
 耳慣れた静かな山の音に、なんの違和感もなく溶けこんだ轟々と響く水音と、浅緑の若葉とに、暫くの間、ぼんやり対面していると、やはり呼ばれたような気がしてきた。
 どうやら私は滝の話が聞きたかったようだ。

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