「おじぃちゃん、それからぁ?」 「あぁ、おじいちゃんが子どもの頃にな・・・」 「え〜、おじいちゃんも子どもだったのぉ?」 「そうだぞぉ・・・ちょうどおまえくらいの時だったなぁ、そこの大通りには大きな鉄塔があってな」 「てっとうって?」 「あぁ、大きな大きな鉄のアンテナだ」 「それが、今日みたいな暑〜い日にな、むくむくと大きな雲が湧いて来て、その大きな鉄塔を食べちゃったんだ」 「バクバクって?」 「・・・いや、こ〜んな風にだ」 風が通り、子どもと老人の笑い声が、風鈴の音と重なった。