Opus.1
After the shower


夕立上がって

 大手を振って歩いていた真夏のような日差しが、みるみる黒雲に覆われると、遠雷はやがて轟く雷鳴と激しい雨の全奏に変わり、家路につこうとする者をしばし足止めに。我が家の一年生も丁度帰る頃、それを案じて外に出れば、暗雲を穿つ槍の一突きのような強烈な日光。豪雨をあたかも滝のように照らし出す、その光と雨を写していると、しばらくして雨は上がり、被写体は雨上がりに輝くものたちへと。すると、良いポジションを得ようと階段を少しばかり上がった父のファインダーに、息子の顔が入った。恐らくは初めて自分の判断で頃合いを見計らい、自然の威力をやり過ごし、帰宅したのだろう。見上げる眼差しには安堵と、はにかみの色がうっすらと滲んだ。Kくん、君も雨上がりに輝くものたちの仲間に入れてあげよう。
 「夕立上がって」・・・7月3日の僕の物語であった。


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