Opus.7
A route of a water


水の道

 群馬県・玉原高原。小尾瀬と謳われるその湿原から谷沿いに小一時間登れば、そこは、武尊の稜線に連なる、静かで広大な山の森「ブナ平」。独特の灰色の木肌を持つブナは、その幹と根でしっかりと山の土を掴み、森のダムともよばれるその林に、沢山の水を貯え、湧き水となって川を産む。その林の中程には、見渡す限りのブナに育てられ、見守られているかのような、一本のミズメの大木。その木肌に触れ、そして我が身を幹に預け天を仰げば、一面に広がる陽の光と、その彼方が・・・川に連なる道なのだと教えられた。
 山里の人と土地を潤し、大小の石の上を、間を、キラキラと輝き、戯れるようにして素早く通り過ぎて行く一筋の流れ。太平洋に注ぐ板東太郎・利根川は、もう間近い。


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