森
「おかあさん、おかあさん! すごいんだよぉ。たいくかんが森になっちゃったんだよぉ」帰宅したばかりの母親をつかまえると、一年生の息子が言った。 去年の今頃はまだ園児、なにかもスケールの大きくなった小学校という新たな生活の場での数々の体験は、さぞかし興奮に満ちていたことだろう。一年生から六年生までのたくさんの作品が林立するその場所、やっと見慣れたと思った体育館は、一大イベントホールと化し、圧倒的な迫力で迫って来たに違いない。 落ち葉を模しディスプレイされた焼き物の葉っぱ、わたしの夢の家、そして友だちという大きな人形。なんとか作ったその人形の名札に、小さな弟の名を書き入れた兄、なんだか顔の方は、仲良しのKT君にそっくりじゃない。
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