Opus.30
A day of the spring equinox

彼岸のある日

 道端の蕗の薹が健やかに輝き、白梅は目覚めを待つ静かな畑で、満開の柔らかく眩しい光を一杯に溢れさせ、川からの心地よい春風は堤の上で遊ぶ子どもたちを撫でると、春眠に馴染み始めた広々とした水田を霞め、そのまま向こうの山まで棚引いていく。
  那珂川の流れに作られたのどかな山裾の平地は、わざわざ敷設の故あったと想像するに難くない、行き止まりの鉄道の終点抱える、由緒有る城下町。彼岸の中日、鄙びた寺の境内に墓参あり。


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