Opus.33
A vacant land

空き地

 バブルもその崩壊も知らず、何事もなかったかのように、その広大な空き地は、値千金の窮屈な土地の中にぽっかりと浮かび、人を誘う。大邸宅在りし日の潤いであったのか、彼岸桜、ソメイヨシノ、八重桜が順に咲き誇り、緑なす雑草の絨毯の上に置かれたソファーでは、この土地の精神的所有者が、紫煙を燻らせ、千金の一時を過ごすのだろう。小石を割いてたんぽぽも満開になる頃、八重桜の木陰に若い二人が招待された。僕がそうであったように、ゲストは間もなくホストになる。しばし惚けて佇めば、君たちもこの土地の主の一人。


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