Opus.38
An asylum

避難所

 入り口に灯る古き良きランプは、暗闇と螺旋への松明、また、そのほの暗さは、延々と続く行列へのサービス、安価な懐古趣味を過去に変えもし、ロジェ・カイヨワの言うとおり、やがて人々をイリンクス(めまい)へと導き、楽しむべき最も安全な危険を与えてくれる。そして、猛獣も野蛮人も襲う事なく、全ては常識と化した一匹のネズミのように振る舞い、そこは、消費可能な異世界となる。
 幸運な娘と魔女の居城を望み、危険に満ちた外界の空との連鎖を柔らかに断ち切るような半透明の屋根をくぐり、人々は、安全を約束された危険な避難所(アジール=asyl)へ向かう・・・そして、しばし、ホモ・ルーデンスとなる。


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