水無月
黄緑色の若葉に道を譲り、路上に舞い降りた楠の老葉、雨に濡れ、もう一度輝く。華やかなショッピングセンターのガラスも敷石も、しっとりと落ち着き、喧噪は吸い込まれたかの様。店の灯りが柔らかく街に滲み始める、雨上がりの夕方、空は夏、飛行機雲走る。 この雨の候が何故、水無し月と訝しく思っていたが、「無」の音「な」に漢字の「無し」の意味なく、その音「な」は「〜の」の意とのこと。まさしく「水の月」そのもの、古来より変わらぬ雨の月となるも、その風情は変わったやも。
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