扇のように広がり、産毛のように細かく小さな、そしてちょっと粘り気のある繊毛で覆われたその葉の縁は、どうしても触って見たくなる誘惑に満ちていて、子どもの頃、指を切った記憶がある。逆光に透けるその棕櫚の葉に今度は注意深く触れてみると、あの時の感触が昨日のことのように伝わって来た。
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