2000年3月23日 No.201

 ついこの間までは、その芽は硬く、ひよこの爪先ほどの大きさもなかったというのに、今はもう柔らかく膨らんで、ゆっくりとはじけそうなその隙間からは、傘をたたむようにぎゅっとしまわれた、黄緑色の若葉さえのぞいている。髪の毛か硬い鉛筆書きの線にも似た、禁欲的な姿をしていたその枝も、鈴なりの若芽たちに飾られた、賑やかで色気のある姿に変わり、夕陽に溶け込もうとしている。花はなくとも、ケヤキの春至近。

before  next

Backnumber
 
All Rights Reserved. Copyright (c) Satoshi Shimada 1999