いろはにほへと その二
薄紅
「必要なもの」
必要なものは
必要なものは
ひとしきり降った雨に濡れた路面の匂い
雲間から降り注ぐ月の光
夕暮れの空の色(あの鮮やかな薄紅色)
芒の原の日の光 ホールに響くピアノの音
路地裏の猫の目
再び廻ってきた秋の空
独りの時間(決して望んじゃいない)
午前二時の静寂
必要なものは
僕の視界の端を横切る
たった一度の出会い
二度目はない
まえへ
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